【2026年版】軽貨物の配送中に事故を起こした時の対応|初動と元請け報告の流れ

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配送中の事故は、どれだけ慎重に走っていても確率をゼロにはできません。そして実際に起きた瞬間に問われるのは運転技術ではなく、正しい手順を順番どおりに実行できるかどうかです。動転したまま自己判断で動くと、道路交通法上の義務違反、保険が使えない事態、さらには元請けとの契約解除にまで一気に発展します。

この記事は事故が起きた「直後」にやる実務手順だけに振り切ってまとめています。スリップや接触を未然に防ぐ運転テクニックは軽貨物の雨天配達マニュアル(事故防止テクニック)で扱っているので、予防を知りたい方はそちらを先に読んでください。ここから先は「もう起きてしまった」前提の話です。

結論から言うと、順番は①負傷者の救護 → ②道路上の危険防止措置 → ③警察への報告 → ④元請け・委託元への報告 → ⑤保険会社への連絡。この5ステップの順番を入れ替えないことが、その後の補償・契約・信用のすべてを左右します。

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  1. 発生直後60分の初動|道路交通法第72条が定める3つの義務
    1. ステップ1:直ちに停止し、負傷者を救護する(0〜5分)
    2. ステップ2:道路上の危険を防止する措置をとる(5〜15分)
    3. ステップ3:警察へ報告する(15〜30分)
    4. やってはいけない:その場の当事者同士の示談で立ち去る
  2. 交通事故証明書|警察へ届け出ないと発行されない公的書類
  3. 元請け・委託元への報告|いつ・誰に・何を伝えるか
    1. 報告テンプレート(この6項目をそのまま伝える)
    2. 報告遅れが契約解除やペナルティにつながる構造
  4. ケース別の対応分岐|6パターンで見る「届出・報告・保険」
  5. 積荷を壊した場合の流れ|貨物保険の対象と対象外
    1. 積荷破損が起きたときの手順
    2. 対象外になりやすいケース
  6. 2025年4月からの新ルール|軽貨物にも事故記録と国への報告義務
  7. 事故後の実務|稼働停止・代車・保険等級への影響
    1. 車両が使えない期間の案件をどうするか
    2. 翌年度以降の保険等級への影響
  8. 車内に常備しておくもの|事故対応チェックリスト
    1. ドラレコ映像の保全手順
  9. よくある質問
    1. Q. 物損だけで相手も「大丈夫」と言っています。警察を呼ばなくてもいいですか?
    2. Q. 相手が「保険を使わず現金で解決したい」と言ってきました。応じていいですか?
    3. Q. 元請けへの報告は配達を全部終えてからでも大丈夫ですか?
    4. Q. 積荷を壊してしまいました。自分で弁償したほうが早いのでは?
    5. Q. 自損事故(単独事故)でも警察と元請けに報告が必要ですか?
    6. Q. 駐車中に当て逃げされました。被害者側でも届出は必要ですか?
    7. Q. 事故を起こすと軽貨物の仕事はもう続けられませんか?
  10. まとめ|順番を守れば、事故は「終わらせられる」

発生直後60分の初動|道路交通法第72条が定める3つの義務

交通事故を起こしたドライバーには、道路交通法第72条第1項によって3つの義務が課されています。これはマナーや会社ルールではなく法律上の義務で、違反には刑事罰があります。順番も条文どおりで、救護が最優先です。

ステップ1:直ちに停止し、負傷者を救護する(0〜5分)

まず車両を停止させます。走り続けたまま状況を確認するのは論外で、たとえ「軽く当たっただけ」と感じても停止義務は発生します。次に相手や同乗者の負傷の有無を確認し、負傷者がいれば救急車(119番)を呼びます。出血がある、意識がはっきりしない、頭を打っている場合は、原則としてその場から動かさず救急隊の到着を待ちます。

この救護義務に違反した場合、いわゆる「ひき逃げ」として5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(道路交通法第117条第1項)、さらに死傷がその運転者の運転に起因するときは10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(同条第2項)という重い罰則が定められています。なお「懲役・禁錮」は2025年6月1日施行の改正刑法によって「拘禁刑」に一本化されています。

ステップ2:道路上の危険を防止する措置をとる(5〜15分)

次に、後続車による二次被害を防ぎます。ハザードランプを点灯し、可能であれば車両を路肩や安全な場所へ移動させ、停止表示器材(三角表示板)や発炎筒を設置します。自分自身も車道上に立たず、ガードレールの外側など安全な位置に退避してください。積荷が路上に散乱している場合は、安全を確保できる範囲で回収し、無理なら警察の指示を仰ぎます。

この危険防止措置を怠った場合も、道路交通法第117条の5により1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金の対象になります。「相手と話すのが先」ではなく「後続車を止めるのが先」だと覚えておいてください。

ステップ3:警察へ報告する(15〜30分)

負傷者の救護と危険防止措置を終えたら、110番で警察に報告します。ここで報告すべき内容は条文で決まっており、その場で聞かれることが事前にわかっているので、以下の5項目をメモに書き出しながら電話するとスムーズです。

道交法72条が定める報告事項 配送中の事故で伝える内容の例
① 事故が発生した日時・場所 「◯時◯分ごろ、◯◯交差点の手前」など。スマホの地図アプリで現在地を確認しながら伝える
② 死傷者の数と負傷の程度 相手・同乗者・自分それぞれの状態。痛みがあるなら「なし」と言い切らない
③ 損壊した物と損壊の程度 相手車両のバンパー、ガードレール、店舗の外壁、看板など
④ 当該車両等の積載物 宅配便の荷物◯個を積載中であること。軽貨物ドライバーが忘れやすい項目
⑤ 事故について講じた措置 救急要請の有無、三角表示板の設置、車両の移動の有無

報告義務に違反した場合は3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金(道路交通法第119条第1項)。物損だけだから、相手が「警察は呼ばなくていい」と言ったから、という理由で報告を省略すると、それ自体が違反になります。

やってはいけない:その場の当事者同士の示談で立ち去る

実務上もっとも危険な選択が、警察に届け出ずに連絡先だけ交換してその場を離れることです。理由は主に3つあります。

  • 人身事故が後日発覚する:接触直後は「大丈夫です」と言っていた相手が、翌日以降に痛みを訴え、人身事故として扱われることがあります。届出がないと事故そのものの立証が難しくなり、当て逃げ・ひき逃げを疑われる立場に置かれます。
  • 保険が使えなくなるおそれ:任意保険の請求では、事故の事実と状況の確認が前提になります。警察への届出がないと事実関係を裏づける公的な資料が存在せず、支払い判断が滞ります。
  • 元請けへの説明ができない:後日相手から連絡が来たとき、届出も報告もしていない状態だと「隠していた」と評価されます。契約上もっとも不利な入り方です。

その場で示談金額の話をしたり、責任の割合を認める発言をしたりするのも避けてください。過失割合の判断は保険会社と当事者間の協議事項であり、動転した状態での「私が全部悪いです」という一言が、後から取り返しのつかない不利を生みます。

交通事故証明書|警察へ届け出ないと発行されない公的書類

警察への届出が必須である実務的な理由が、この交通事故証明書です。これは自動車安全運転センターが交付する書類で、「いつ・どこで・誰と誰の間で事故が発生したか」を公的に証明します。

重要なのは、この証明書が警察への届出があった事故についてのみ発行されるという構造です。届出をしていない事故は警察の記録に存在しないため、センターは証明書を出せません。つまり、届出を省略した瞬間に「事故が起きた事実を公的に示す手段」を自ら手放すことになります。

交通事故証明書は、任意保険・自賠責保険の請求、元請けへの状況説明、相手との交渉のいずれでも土台になります。申請できる期間には上限が設けられているため、必要になりそうなら早めに申請してください(申請方法・手数料・申請可能期間は自動車安全運転センターの公式案内で確認できます)。事故直後に届け出ておけば、後から必要になった時点で申請できます。

ちなみに自賠責保険(強制保険)は傷害で120万円、死亡で3,000万円、後遺障害で最高4,000万円が限度額です。これは対人のみの最低限の補償で、対物・積荷・自車の損害は一切カバーされません。だからこそ事業用の任意保険が必要になるわけですが、商品ごとの補償内容の比較は軽貨物の車両保険・任意保険の選び方軽貨物ドライバーが入るべき保険の種類と費用にまとめてあります。本記事では「起きた後にどう動くか」に集中します。

元請け・委託元への報告|いつ・誰に・何を伝えるか

警察への報告を終えたら、次は元請け(委託元)への連絡です。タイミングは初動対応が一段落した直後、遅くとも当日中。「今日の配達を終えてから報告しよう」は最悪手です。荷物の遅延やクレームが先に元請けへ届き、ドライバーからの報告が後追いになると、事故そのものより報告遅れが問題視されます。

報告テンプレート(この6項目をそのまま伝える)

  • 発生時刻と場所:「◯時◯分ごろ、◯◯付近で接触事故を起こしました」
  • 相手の有無と負傷の有無:相手車両あり/自損のみ、けが人の有無、救急要請の有無
  • 警察への届出状況:110番済み、事故受付番号・担当署の確認済みかどうか
  • 積載荷物の状態:破損・汚損の有無、対象個数、荷主名(判明していれば)
  • 本日の配達継続の可否:継続可能/不可能、残件数と想定遅延時間
  • 車両の可動状況と代車手配の要否:自走可能か、レッカーが必要か、明日以降の稼働見込み

この6項目は、元請けの配車担当が判断のために必ず必要とする情報です。裏を返すと、これ以外の弁解や責任論はこの時点では不要です。事実だけを短く、確定していないことは「未確認」と伝えるのが最短で信用を守る方法になります。

報告遅れが契約解除やペナルティにつながる構造

軽貨物ドライバーの多くは業務委託契約で働いており、契約書には事故報告条項が置かれているのが一般的です。「事故発生時は直ちに委託者へ報告する」「報告を怠った場合は契約を解除できる」といった条文が入っていることがあり、報告遅れそのものが債務不履行として扱われる余地があります。

また、荷物の破損に関する費用負担の範囲、免責額、稼働停止時の取り扱いも契約書側で決まっています。事故が起きてから初めて契約書を読むのでは遅いので、業務委託契約書チェックポイント|サイン前に見る7条項を参考に、事故報告条項と損害負担条項がどう書かれているかを平時のうちに確認しておくことを強くおすすめします。

なお、事故に伴って配達先や荷受人からクレームが発生した場合の受け答えは、事故対応とは別のスキルになります。謝罪の範囲と一次対応の型は軽貨物ドライバーのクレーム対応完全ガイドにまとめています。

ケース別の対応分岐|6パターンで見る「届出・報告・保険」

事故と一口に言っても、対応の分岐はケースごとに変わります。共通しているのは「警察への届出はどのケースでも必要」という点で、変わるのは使う保険と自己負担の出方です。

ケース 警察への届出 元請けへの報告 主に使う保険 自己負担が出やすい点
① 対物(相手あり)
車両同士の接触・追突
必須。物件事故として受付 当日中。過失割合は未確定と伝える 対物賠償/車両保険 車両保険の免責金額、休業中の売上
② 対人
歩行者・自転車・相手同乗者の負傷
必須。人身事故として届出 即時。救急要請の有無まで報告 自賠責+対人賠償(無制限が基本) 行政処分・刑事手続に伴う稼働停止
③ 自損・単独
ガードレール・電柱・縁石接触
必須。公共物損壊は管理者への連絡も 当日中。稼働可否を明確に 車両保険(一般型)/対物賠償 エコノミー型だと自車損害が対象外
④ 積荷の破損・汚損 交通事故を伴うなら必須 最優先。荷主への連絡は元請け経由 貨物保険(受託貨物賠償責任保険) 免責金額、補償対象外の品目
⑤ 駐車中の当て逃げ被害 必須。被害者側でも届出が要る 当日中。稼働継続可否を報告 車両保険(相手不明時) 相手不明だと全額自己負担になる場合
⑥ 配達先敷地内での物損
門扉・外壁・私有車への接触
私有地でも原則届出(当事者間だけで処理しない) 当日中。相手が荷受人なら特に急ぐ 対物賠償 少額修理でも保険使用で等級が下がる

特に注意したいのが⑤と⑥です。⑤は自分が被害者なので届出を忘れがちですが、届出がなければ交通事故証明書が出ず、車両保険の請求で不利になります。⑥は「配達先の方と直接話して済ませたほうが穏便」と考えてしまいがちですが、後日修理費で揉めたときに公的な記録が一切ない状態に陥ります。私有地であっても、まずは警察と保険会社に連絡するのが原則です。置き配・誤配トラブル対策と同様に、当事者だけで完結させないことが自分を守ります。

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積荷を壊した場合の流れ|貨物保険の対象と対象外

軽貨物ドライバー固有のリスクが積荷の損害です。急ブレーキで荷崩れした、事故の衝撃で精密機器が破損した、飲料が漏れて他の荷物を汚した——こうした損害は自動車保険の対物賠償ではカバーされません。受託中の荷物は「他人の財物」であっても、多くの対物賠償では受託物が免責になっているためです。ここを担うのが貨物保険(受託貨物賠償責任保険・運送業者貨物賠償責任保険)です。

積荷破損が起きたときの手順

  • 荷物を動かす前に写真を撮る:破損状態、荷室内の積み付け状況、伝票の送り状番号がわかるように複数枚。
  • 荷物を勝手に処分しない・自分で修理しない:損害額の査定ができなくなり、保険金の支払い判断に影響します。
  • 元請けに即報告し、荷主への連絡経路を確認する:荷受人へ直接謝罪や賠償の約束をしないこと。
  • 保険会社へ事故受付を行う:貨物保険は自動車保険と受付窓口が別のことがあるため、証券番号を分けて控えておきます。
  • 自己判断で弁償しない:先に自腹で払うと、保険手続き上の求償関係が崩れる場合があります。

対象外になりやすいケース

貨物保険は万能ではありません。補償の範囲は約款によって差がありますが、次のような類型は免責事由として定められていることがあります。自分の契約でどう書かれているかを、証券に付属する約款で必ず確認してください。

  • 現金・有価証券・貴金属・美術品など、あらかじめ除外されている品目
  • 荷物本来の性質による変質(生鮮品の自然腐敗、温度管理を要する品の劣化)
  • 梱包が不十分だったことに起因する損害
  • 置き配後の盗難・紛失など、受託関係が終了した後に生じた損害
  • ドライバーの故意によるもの、法令違反の運行中に生じたもの

弁償額は品目・約款・過失の程度・元請けとの契約内容によって大きく変わるため、金額の目安をここで断定することはできません。「いくら払うか」は当事者と保険会社が決めることであり、ドライバーが現場で見積もって口にするべきことではない——これだけ覚えておけば十分です。

2025年4月からの新ルール|軽貨物にも事故記録と国への報告義務

ここは多くのドライバーが見落としている論点です。貨物自動車運送事業法等の改正により、2025年(令和7年)4月1日から、貨物軽自動車運送事業者にも安全対策の義務が段階的に課されました。従来は一般貨物(緑ナンバー)中心だった規制が、黒ナンバーにも及んだかたちです。主な内容は次のとおりです。

  • 貨物軽自動車安全管理者の選任・届出(既存事業者には経過措置期間あり)
  • 安全管理者講習・定期講習の受講
  • 業務記録(運転日報)および事故記録の作成・保存
  • 国土交通大臣への事故報告(自動車事故報告規則に基づく報告対象事故が発生した場合)

つまり、事故対応は「警察 → 元請け → 保険会社」で終わりではなく、事故記録を自分で作成し保存するところまでが業務になりました。転覆・転落・火災、死者や重傷者が生じた事故など、自動車事故報告規則の対象となる重大事故では、速報(一定の事故について直ちに電話等で連絡)と報告書の提出が求められます。詳細な要件と提出期限は国土交通省・各運輸支局の案内で必ず確認してください。

日々の記録の作り方と保存期間については軽貨物の運行記録・日報は義務化された?で整理しています。事故が起きてから記録の付け方を調べるのでは間に合わないので、平時のうちにフォーマットを用意しておくのが現実的です。

事故後の実務|稼働停止・代車・保険等級への影響

車両が使えない期間の案件をどうするか

軽貨物は「車が止まる=売上が止まる」構造です。事故で車両が自走不能になった場合、優先順位は①元請けへの稼働停止連絡 → ②残件の引き継ぎ → ③代車の確保の順になります。無理に稼働を続けようとして翌日以降も連絡しないでいると、配車枠そのものを失います。稼働できない日数を早めに伝えるほど、元請け側は代替ドライバーを手配でき、結果的に自分の枠も守られます。

代車については、任意保険のレンタカー費用特約(代車費用特約)を付けているかどうかで状況が一変します。特約がなければ全額自己負担です。またリース契約の車両の場合、事故時の修理手配や全損時の取り扱い、中途解約の可否はリース契約書側で決まっています。自分の車が「所有」なのか「リース」なのかで、事故後にできることが変わる点は事前に押さえておいてください。

翌年度以降の保険等級への影響

任意保険を使うと、原則として翌年度の等級が下がり、さらに「事故有係数適用期間」が加算されて保険料が上がります。少額の修理であれば、保険を使わず自己負担にしたほうが総支払額が小さくなるケースもあります。

区分 等級の変動 事故有係数適用期間 主な該当例
3等級ダウン事故 翌年度に3等級下がる 1件につき3年加算 対人・対物賠償、一般的な車両事故
1等級ダウン事故 翌年度に1等級下がる 1件につき1年加算 盗難、落書き、飛来中・落下中の物との衝突など
ノーカウント事故 下がらない(翌年度1等級上がる) 加算なし 人身傷害保険や弁護士費用特約のみの使用など

事故有係数適用期間は上限6年で、無事故の年が経過するごとに1年ずつ減っていきます。3等級ダウン事故を1件起こすと、割高な料率が数年続く計算になるため、修理費の見積もりが出た段階で「保険を使う場合/使わない場合」の総額を保険会社に試算してもらうのが定石です。区分の名称や取り扱いは保険会社ごとに差があるので、契約中の商品の約款で確認してください。

車内に常備しておくもの|事故対応チェックリスト

事故直後は手が震え、スマホの操作すらおぼつかなくなります。「調べなくても手が届く場所にある」状態を平時に作っておくことが、初動の質を決めます。

備えるもの 目的と置き場所
事故連絡先メモ(紙) 任意保険の事故受付、貨物保険の受付、元請け配車担当、ロードサービスの4本を1枚に。スマホの充電切れに備えて紙でダッシュボードへ
保険証券番号の控え 自動車保険と貨物保険は別番号。受付時に必ず聞かれる
車検証・自賠責証明書 車載義務あり。警察への提示にも使う
停止表示器材・発炎筒 危険防止措置に必須。発炎筒は有効期限を年1回確認
ドライブレコーダー 過失割合の判断材料。上書きされる前に映像を保全する
反射ベスト・軍手・懐中電灯 夜間・雨天時の二次被害防止。荷室ではなく運転席側に
モバイルバッテリー 警察・保険・元請けと連続で電話するとバッテリーを消耗する

ドラレコ映像の保全手順

ドライブレコーダーは容量がいっぱいになると古いデータから上書きされます。事故直後にやるべきことは3つです。①衝撃検知でロックされているか確認する、②可能ならその場で電源を切るか記録カードを抜く、③安全な場所でスマホやPCに該当ファイルをコピーする。走り続けたまま数時間が経過すると、肝心の映像が消えている場合があります。相手方から映像提供を求められても、まず保険会社に相談してから対応してください。

よくある質問

Q. 物損だけで相手も「大丈夫」と言っています。警察を呼ばなくてもいいですか?

A. 呼ぶ必要があります。道路交通法第72条の報告義務は物損事故でも発生し、違反には罰則があります。届出がなければ交通事故証明書が発行されず、後日相手が痛みを訴えた場合や修理費で揉めた場合に、事故の事実を証明する手段がなくなります。相手の同意は届出義務を免除しません。

Q. 相手が「保険を使わず現金で解決したい」と言ってきました。応じていいですか?

A. その場で金額の約束をするのは避けてください。過失割合や損害額は保険会社が確認したうえで確定します。現場では「保険会社に連絡してから改めてご連絡します」と伝え、警察への届出と自分の保険会社への事故受付を先に済ませるのが安全です。

Q. 元請けへの報告は配達を全部終えてからでも大丈夫ですか?

A. 危険です。遅延やクレームが元請けへ先に届くと、報告遅れ自体が問題になります。初動対応が一段落した時点で一次連絡を入れ、詳細は後追いで構いません。多くの業務委託契約書には事故報告条項があり、報告遅れが契約解除やペナルティの根拠になり得ます。

Q. 積荷を壊してしまいました。自分で弁償したほうが早いのでは?

A. 自己判断での弁償は避けてください。貨物保険の対象になる可能性があり、先に自腹で処理すると保険手続き上の整理が難しくなることがあります。破損状態を撮影し、元請けと保険会社へ連絡したうえで、支払いの要否と金額は手続きの中で確定させます。

Q. 自損事故(単独事故)でも警察と元請けに報告が必要ですか?

A. どちらも必要です。ガードレールや電柱などの公共物を壊した場合は所有者・管理者への損害賠償が発生し、対物賠償保険の対象になります。届出をせずに立ち去れば当て逃げとして扱われる可能性があります。元請けには翌日以降の稼働可否を伝える必要があります。

Q. 駐車中に当て逃げされました。被害者側でも届出は必要ですか?

A. 必要です。車両保険で修理する場合、交通事故証明書の提出を求められるのが一般的で、その発行には警察への届出が前提になります。発見した時点で現場を動かさず写真を撮り、110番してください。

Q. 事故を起こすと軽貨物の仕事はもう続けられませんか?

A. 事故の内容と契約次第です。行政処分による免許停止など運転できない期間が生じれば当然稼働はできませんが、物損事故で適切に報告・対応したケースまで一律に契約終了になるわけではありません。むしろ判断を分けるのは報告の速さと正確さです。案件を切り替える必要が生じた場合に備えて、複数の案件ルートを把握しておくことがリスク分散になります。

公開情報の要点:交通事故を起こした運転者には、道路交通法第72条第1項により「直ちに運転を停止し負傷者を救護する義務」「道路における危険を防止する措置を講じる義務」「警察官へ報告する義務」が課されています。報告事項は、事故の日時・場所、死傷者の数と負傷の程度、損壊した物と損壊の程度、車両の積載物、講じた措置の5点です。救護義務違反は5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(運転に起因する死傷は10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)、報告義務違反は3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金と定められています(「懲役・禁錮」は2025年6月1日施行の改正刑法により「拘禁刑」へ一本化)。交通事故証明書は自動車安全運転センターが交付する書類で、警察への届出があった事故についてのみ発行されます。また2025年4月1日以降、貨物軽自動車運送事業者にも安全管理者の選任、業務記録・事故記録の作成保存、国土交通大臣への事故報告といった義務が段階的に適用されています。

出典:道路交通法 第72条・第117条・第117条の5・第119条/刑法等の一部を改正する法律(2025年6月1日施行)/自動車安全運転センター 公式サイト(交通事故証明書)/国土交通省 貨物自動車運送事業法関係(貨物軽自動車運送事業の安全対策・2025年4月1日施行)/自動車事故報告規則/本記事は公開情報を編集部が整理したものです

まとめ|順番を守れば、事故は「終わらせられる」

配送中の事故対応でやるべきことは、結局のところ次の順番に集約されます。

  • ①救護 → ②危険防止 → ③警察への報告:道路交通法第72条の法的義務。物損でも例外なし
  • ④元請け・委託元へ当日中に一次報告:6項目(時刻・場所/相手と負傷/届出状況/積荷の状態/配達継続可否/代車の要否)を事実だけ短く
  • ⑤保険会社へ受付:自動車保険と貨物保険は別窓口・別証券番号
  • ⑥記録を残す:ドラレコ映像の保全、写真、そして2025年4月から義務化された事故記録の作成

現場で絶対にやってはいけないのは、届け出ずに立ち去ること、その場で責任や金額を認めること、報告を後回しにすることの3つだけです。逆に言えば、この3つを避けて順番どおりに動けば、事故は「対応可能なトラブル」の範囲に収まります。

そして最も効くのは、事故が起きる前に連絡先メモ・保険証券番号・契約書の事故報告条項の3点を確認しておくことです。今日の配達が終わったら、10分だけ時間を取ってダッシュボードに1枚のメモを入れておいてください。それが、いつか自分を守ります。

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